Pythonを始めるときの最初の壁が「環境構築」です。

なかでもJupyterLab(Jupyter Notebook)は起動させるまでが最初は一苦労です。そんな悩みを解決してくれるJupyterLab Desktop Appリリース されました。

今までJupyterLab(Jupyter Notebook)と言えばWebブラウザーで操作していましたが、JupyterLab Desktop Appはパソコンで動作するデスクトップアプリケーションです。このアプリケーションをインストールして実行すれば、すぐに簡単にJupyterLabが使えるようになります。

jupyterlab desktop app

Pythonの実行環境やライブラリはこのアプリケーションの内部にすべて含まれています。今までのように自分で環境構築する手間がかかりません。このアプリケーションの中で自己完結した環境なので、既存の公式PythonやAnacondaと競合することもありません。

さらに、クロスプラットフォームのアプリケーションですので、Linux(Debian系・Fedora系)、macOS、Windowsで利用することができます。

今回はJupyterLab(Jupyter Notebook)を始める環境の決定版とも言えるJupyterLab Desktop AppをWindowにインストールする方法をご紹介します。

本記事の目次
  1. インストーラーのダウンロード
  2. インストール方法
  3. 起動して始める
  4. JupyterLab Desktop AppのPython実行環境について
  5. プレインストールされているライブラリ
  6. ライブラリの追加インストール方法
  7. 従来のJupyter Notebookで使用するには

インストーラーのダウンロード

インストーラーは、JupyterプロジェクトのJupyterLabのGitHubページからダウンロードできます。

https://github.com/jupyterlab/jupyterlab_app

Windows用のインストーラーをダウンロードするには、このページのDownload にある以下の「Windows Installer」の部分をクリックします。

jupyter desktop app download

LinuxとmacOSのインストーラーもここからダウンロードできます。

インストール方法

ダウンロードしたインストーラー(JupyterLab-Setup-Windows.exe)を実行します。最初に以下のような画面が表示されたら「はい」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 1

すると以下のようなライセンス契約の画面が表示されるので「同意する」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 2

以下のようにインストールが開始するので、終了するまで待ちます。

JupyterLab Desktop App Install 3

終了すると引き継ぎ「JupyterLabAppServer」のインストール画面が表示されるので「Next」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 4

するとライセンスに同意を求める画面が表示されるので「I Agree」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 5

次に以下のようなインストール形式を選択する画面が表示されます。現在のユーザーだけが使用する場合は「Just Me」、すべてのユーザーが使用する場合は「All Users」を選択します。今回は推奨(recommended)されている「Just Me」を選択して「Next」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 6

インストール先のフォルダーを指定する画面が表示されるので、デフォルト(「C:¥JupyterLab¥resources¥jlab_server」)のまま「Next」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 7

次に以下のようなインストールのオプションを指定する画面が表示されます。今回は何もチェックしないでそのまま「Install」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 8

インストールのオプションは次の3つを指定できます。

  • JupyterLabAppServerを環境変数PATHに追加するか(非推奨)
  • 通常は既存のシステムに影響するため推奨されません。

  • JupyterLabAppServerをデフォルトのPython3.8とするか
  • JupyterLabはJupyterLabAppServerの中にあるPythonの実行環境を使います。このPythonを他のソフトから利用することもできます。チェックするとVisual Studio CodeやPyCharmなどでJupyterLabAppServerの中のPythonを認識できるようになります。

  • 完了後にパッケージのキャッシュをクリアするか
  • チェックするとパッケージ(ライブラリ)のキャッシュを機能に影響を与えることなく削除します。

今回は既に使用中のPythonに何も影響を与えたくなかったのでオプションは全てチェックしませんでした。

「JupyterLabAppServer」のインストールが開始されると以下のような画面が表示されます。

JupyterLab Desktop App Install 9

インストールが完了すると以下のような画面になるので「Next」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 10

さらに次のような画面も表示されるので「Finish」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 11

最後に以下の画面が表示されます。今回は後から自分で起動するので「JupyterLabの実行」のチェックははずして「完了」をクリックします。

JupyterLab Desktop App Install 12

これで「JupyterLab」と「JupyterLabAppServer」のインストールが完了しました。

JupyterLab Desktop Appのインストーラーを実行すると「JupyterLab」と「JupyterLabAppServer」の2つのアプリケーションがインストールされます(Windowsの[設定]の[アプリ]で確認できます)。Pythonの実行環境は「JupyterLabAppServer」の方に含まれます。

起動して始める

インストールが完了するとスタートメニューに「JupyterLab」が追加されるので、クリックすると起動します。デスクトップに追加された「JupyterLab」というショートカットからも起動できます。

JupyterLab Launch

起動すると以下のような画面が表示されます。左側には「エクスプローラー」があり、ここでファイルを操作できます。ルートは「ユーザーディレクトリ(C:¥Users¥ユーザー名)」になっているので、最初はその中が表示されます。

JupyterLab First

作業用フォルダーの作成

作業用に適当なフォルダーを作成しておきます。今回はドキュメントフォルダーに「Jupyter」というフォルダーを作成します。

ドキュメントフォルダーに移動するには「 Documents」をダブルクリックします。そこで以下のボタンをクリックしてフォルダーを作成します。

New Folder

ノートブックファイルの作成

作業用フォルダー(今回は「ドキュメントフォルダーの中のJupyterフォルダー」)に移動して、そこで以下のように「Python 3(ipykernel)」をクリックします。

new notebook

すると以下のようにノートブックファイル(*.ipynb)が追加されます。

first notebook

デフォルトのファイル名は「Untitled.ipynb」になっています。変更するには、左側のエクスプローラーでファイル名を右クリックして表示されるメニューから「Rename」を選択します。今回は「first_note.ipynb」という名前に変更します。

これで準備が整いました。以下のコードセルにコードを入力できます。コードを入力したら「Shift + Enter」を押すと実行され、コードセルの下に結果が表示されます。

JupyterLab Cell

コード実行方法の基本は以下のGoogle Colabの記事の内容が参考になります。

機械学習やデータ分析を学ぶには、まずは参考書から始めるのが一般的です。そして、学習を始めるために、自分のパソコンに環境を構築します。そこで、多くの書籍ではAnacondaのインストールを薦めています。…

JupyterLabではショートカットを覚えると操作がしやすくなります。よく使うショートカットは以下の記事にまとめています。

「Jupyter Notebook」が便利なのは、コードの入力もその結果のグラフや表も同じWebページに表示できることです。それをそのままファイルに保存することもできます。そのため、「データ分析」のよ…

JupyterLab Desktop AppのPython実行環境について

上記で作成したノートブックファイルを用いてJupyterLab Desktop Appに装備されているPythonの環境について調べてみます。

まずJupyterLab Desktop AppのPython本体がどこにあるかを調べます。以下の記事にあるように標準モジュールのsysをインポートしsys.executableを実行すると分かります。

WindowsにPythonをインストールすると、デフォルトのインストール先は以下のようにユーザーディレクトリ内のAppData¥Local¥Programs¥Pythonの中になります。 …

以下のようにインストール時に指定したJupyterLabAppServerのインストール先のフォルダー(「C:¥JupyterLab¥resources¥jlab_server」)にあるPythonを使用していることが分かります。

python location

次にライブラリをどこから読み込んでいるかを調べます。IDLEでモジュールを検索するパスを確認した時と同様にsys.pathを実行してみます。なお、以下では左上のフォルダーアイコンをクリックしてエクスプローラーを非表示に切り替えています。

python path

作業中のフォルダーと設定ファイル(.ipython)以外はJupyterLabAppServerのインストール先のフォルダー配下が指定されています。これによりライブラリに関してもインストール先のものが使用されることが分かります。

さらにPythonのバージョンも調べてみます。そのためにsys.versionを実行します。以下のように執筆時点(2021.10.06)では「Python3.8.12」を使用していることが分かります。

python version

プレインストールされているライブラリ

インストールされているライブラリを確認するには、通常はコマンドプロンプトでpip listを実行します。JupyterLabでは%pipを使うことでコードセルからpipが利用できます。

このように先頭に%が付くコマンドは「マジックコマンド 」と呼ばれます。普段コマンドプロンプトで行っているような操作をコードセルから実行できるようになります。

コードセルに%pip listを入力してShift + Enterで実行します。すると以下のようにインストールされているライブラリの一覧が表示されます。

pip list

上の図ではすべて表示できていませんが、データ分析に不可欠なScipy、Numpy、MatplotLib、Pandasもちゃんとプレインストールされているのが確認できます。

JupyterLabはcondaも使用できます。condaで確認する場合は%conda listを実行します。

ライブラリの追加インストール方法

ライブラリを追加インストールすることも可能です。上記と同様にマジックコマンドの%pipを用いて%pip install ライブラリ名を実行すれば追加インストールできます。

例として機械学習によく利用されるscikit-learn 」はプレインストールされていないので、追加でインストールしてみます。以下のように%pip install scikit-learnを実行するとscikit-learnがインストールされます。

pip install

更新する場合は%pip install --upgrade scikit-learnのように--upgradeオプションを追加します。

上の図のように「Successfully installed ~」と表示されればインストールは成功ですが、このまますぐに使うにはカーネルを再起動する必要があります。それには以下のように[Kernel]メニューから「Restart Kernel」を選択します。

restart kernel

以下のようなダイアログが表示されるので「Restart」をクリックするとカーネルが再起動します。

restart kernel dialog

カーネルの再起動が完了すると追加したライブラリが使えるようになります。ここでは以下のようにscikit-learn(インポートする時はsklearn)が使用できるのを確認できます。

scikit-learn

JupyterLabはcondaも使用できます。condaでインストールする場合は%conda install ライブラリ名を実行します。ただしpipと混在して使うのは不具合の原因となる可能性が危惧されます。どちらか1つを使うことをおすすめます。

従来のJupyter Notebookで使用するには

JupyterLab」は従来から利用されてきた「Jupyter Notebook」の後継です 。Jupyter Notebookの方が馴染みがある場合は、Jupyter Notebookを使用することもできます。

Jupyter Notebookを起動するには[Help]メニューにある以下の「Launch Classic Notebook」を選択します。

launch classic notebook

すると別ウィンドウが立ち上がり以下のような従来のJupyter Notebookが起動します。

classic notebook