RPA(Robotic Process Automation)への注目が急上昇しています。その背景には、人手不足解消への期待や、「働き方改革」政策による後押しがあると一般に言われています。しかし、本当にそれだけでしょうか。
本当の理由は、IT推進に遅れを感じている企業が、挽回するために一斉に飛びついているからだと弊社は考えます。だから、そこで満足しないで、本来のIT推進を継続することが大事です。
弊社はRPAには全く関知していませんが、最近日経をメインに急激に露出しているので、「何が起きているのか」と動向を観察しています。そんな中で、思うことを少し書き綴ってみました。
なぜRPAは魅力的に見えるのか
RPA運用を成功させる近道は、専任の人材を配置することのようです。従来、IT人材を社内で確保することは、至難を極めました。社内のワークフローを理解し、システムの専門知識を併せ持つ人材が理想ですが、まずいません。
しかし、システムについては、それほどでなくても、社内のワークフローに長けた人材は結構います。RPAの良いところは、プログラミングやシステム構築の経験がなくても、短期間のトレーニングで構築できるようになることです。すなわち、いま社内にいる人材を活用できることが、RPAの最大の魅力だと思うのです。
IT人材を育ててこなかったツケは払えるのか
では、それでIT推進は実現できたと安心できるのでしょうか。RPAは即効薬だと思いますが、やはりIT推進は別にコツコツしっかりと実行しなければなりません。
本来、望ましいIT推進とは、単にシステムを導入するだけでなく、高度なIT人材を社内に育成することです。社内の課題をITで解決できる能力と、外注先のシステム会社と対等の知識をもつ人材です。
そのような経営感覚をもったプロのIT人材は、絶対に社内に必要なのです。なぜなら、ITの利活用は業務効率化を卒業して、ITで収益をあげる真の生産性向上に向かわなければならないからです。
・今の日本の取り組みでは、RPAの効果は頭打ちになるという意見もあります。
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ITに強い企業がRPAを導入すると他を圧倒するかもしれない
一方、既に業務効率化を実行しているITに強い企業は、RPAは必要がないのでしょうか。実は、ITに強い企業の方が、RPAを導入すべきではないかと考えています。
すなわち、RPAを導入することで、社内のワークフローが細部まで見える化できれば、AIに順次移譲しやすくなるのではないかと思うのです。この辺については、まだ弊社も感覚的な意見ですが、ルーチン化できれば、手元で行うのは不効率なので、集約して一度にやってしまおうと考えるはずです。それを効率的に行うのは、もはや人間ではなくAIなのは自明です。
必要なのはやはり人材育成
繰り返しになりますが、プロのIT人材を社内で育てることがやはり一番大事です。そのためには、Pythonのような守備範囲の広いプログラミング言語を学び、業務をフロー化し実行形式にするトレーニングを行い、同時にITを収益に結びつける発想を常に持つことが必要になると考えます。