パソコン操作を時短するには、まずは「マウスに触らないこと」です。つまり、キーボードで操作すれば、マウスに持ち替えてクリックしてという時間を省くことができます。
例えば、
- コピー、ペースト、切り取りのCtrl + C、Ctrl + V、Ctrl + Xの基本操作だけでなく
- エクセルでも「行の挿入、削除」には Ctrl + +、Ctrl + -で操作できます。
その他にも多くのショートカットキーがあり、覚えればすぐに効果が出ます。しかし、もっと時短できる究極の方法があります。それは、「ソフトに触らないこと」です!?
ソフトに触らないのだから、ソフトは起動しません。エクセルならば、エクセルを起動しないで、エクセルファイルを直接読み書きします。それを可能にするのがプログラミングです。
以下では、ついつい時間をかけてしまうプレゼン資料の作成を例にイメージしてみます。
プレゼン資料作成のパターン
プレゼン資料で、もっともよく使うパターンは「タイトル+コンテンツ」です。パワーポイントならば、以下のようなレイアウトになります。
このコンテンツの部分に画像をはめ込めば一番簡単にスライドを作成できます。それには、タイトルと画像のペアを揃えます。
そこで、以下のようなスライドのタイトルをファイル名にした画像をまず準備します。ファイル名の先頭には、順番がわかるように番号も付けておきます。
# {番号}_{スライドのタイトル}.png
01_なぜ日本は生産性後進国になったのか.png
1回のプレゼン用に作成した画像は、以下のように1つのフォルダに入れておきます。
これらの画像ファイルから、プログラムで一気にパワーポイントのファイルを作成します。
プログラミング
ビジネスパーソンには、いつもPythonをおすすめしていますので、Pythonでプログラミングしてみます。Pythonの特徴の一つに、膨大な外部のライブラリが利用できることがあります。今回は「python-pptx 」というパワーポイントファイルを作成できるライブラリを利用します。
プログラムは以下のように30行足らずで作成できます。画像ファイルは、カレントのprs20190528フォルダ
に入れて実行します。
from pathlib import Path
import pptx
from pptx.util import Pt, Inches
def create_slide(ppt, title, img_path):
slide = ppt.slides.add_slide(ppt.slide_layouts[5])
title_holder = slide.shapes.placeholders[0]
title_frame = title_holder.text_frame
title_frame.paragraphs[0].text = title
title_frame.paragraphs[0].font.size = Pt(36)
left, top, width = Inches(1), Inches(1.5), Inches(8)
slide.shapes.add_picture(img_path, left, top, width=width)
prs = pptx.Presentation()
img_dir = Path("./prs20190528")
for img in sorted(img_dir.glob("*.png")):
file_name = img.stem
prs_title = file_name.split("_")[1]
create_slide(prs, prs_title, str(img))
ppt_path = img_dir.stem + ".pptx"
prs.save(ppt_path)
このプログラムを実行するだけで、以下のようにプレゼン資料が出来上がります。ここで初めてソフトを起動して、出来ているか確認し細部を調整します。
スライド100枚でも、画像だけ用意しておけば一瞬で出来上がります。すごいとおもいませんか?そして、見てわかるように、プログラムはドキュメントのようです。作業が見えるようになり、編集したり何度でも再現できます。パソコン操作の熟達による時短とは比較にならないのです。
最後に
プログラミングが有利なのは、上記のような圧倒的な時短を実現できるだけでなく、データ分析やAIに発展できることです。以下のコラムにあるように、一部の米銀では、すでにPythonを企業分析担当者の必須にしているそうです。
コラム:ホラーストーリーでは済まない令和時代の金融大改革=大槻奈那氏 – ロイター
エクセルは確かに便利ですが、そこに留まらずにプログラミングへのシフトをぜひ検討してみてください。