私たちガンマソフトは社会貢献活動の1つとして地形図を活用しやすくするためのアプリを「Map25000.com 」で無償公開しています。

地球規模の気候変動に伴い、日本では大雨や台風による災害が多大な被害をもたらしています。実際の土砂災害や河川の氾濫に備えるためには、周辺の地形をよく理解しておくことが重要です。つまり、地形に関するリテラシーが不可欠です。そのために、有効なのが「地形図を読む」ことです。

地形図は国土交通省の国土地理院が発行している地図です。地形図は単に地形を正確に描くだけでなく、人が読んで地形を理解しやすいように作成されています。そのために、等高線や道路の描き方、地図記号など様々な工夫が凝らされています。

では、どのようにしたら地形図を読んで地形を把握できるようになるでしょうか。

それには、地形図を持って現地と照らし合わせながら踏査してみるのが一番です。そこで、Map25000.comでは、プリントアウトしたり、冊子などに貼り付けやすくするために以下の3つのアプリを公開しています。

  • AnnaiMap:A4サイズの案内図PDFを印刷
  • Map25000img:地形図のPNG画像を作成
  • Map25000pdf:地形図をPDFに印刷

だれでもすぐに使えるようにWebAssemblyを採用

Map25000.comのアプリは、インストール不要でWebサイトにアクセスするだけで使えます。それを実現するために、「WebAssembly(WASM)」という新しいテクノロジーを採用しました。

WebAssemblyを使うことで、いままでWebブラウザーでは実現できなかったような高度な処理が可能になりました。つまり、ネイティブのようなアプリがWebブラウザーだけで動作できます。

アプリストアのような中央集権的な管理者を抜きに運用できるので、まさにWeb3の時代にマッチしたテクノロジーと言えます。

Map25000.comでは、画像処理やPDFの作成をWebAssemblyでプログラミングしています。

WebAssemblyでアプリを作成するには、「Rust」という言語がまず挙げられますが、今回は.NETのライブラリやC#で自作したプログラムを活用するために「Blazor WebAssembly」を採用しました。

登山から委託業務の案内図まで用途は様々

普段から地形図を活用しやすくするために、地形図をプリントアウトできるだけでなく、登山に便利な「磁北線」や「GPSのトラックデータ」を描画できる機能を追加しました(Map25000pdfで利用できます)。

また、公共事業の委託業務に添付するA4サイズの案内図作成に特化したアプリ(AnnaiMap)も公開しています。

10年越しのアプリの理想の姿

実は本アプリを作成したのは今回がはじめてではありません。10年以上前からマップリドットネット で公開しています。

その当時は、WebAssemblyはまだ登場していなかったため、「Silverlight」というマイクロソフトのツールを利用しました。SilverlightはWebブラウザーの拡張機能として動作しますが、アプリのインストールも簡単で、ネイティブに近い動作もでき、本アプリのSilverlight版も多くの方々に長年ご愛顧いただきました。

しかし、Webブラウザーのセキュリティ強化に伴い使用できる環境が限られるようになり、次第に淘汰されてしまいました。そして、2021年にマイクロソフトのサポートが終了しました。

そんな折にWebAssemblyが近年注目されるようになりました。Silverlightとは違いインストールは不要など、当初描いてた理想的な状態でアプリを提供できることがわかり、早速WebAssemblyへの移植を進めることにしました。つまり、今回ご紹介しているMap25000.comは、弊社の10年越しのアプリの理想の姿と言えます。

ぜひ本アプリが多くの方々にご活用いただき、災害への備えの一助となることを願っております。